黒潮流域の観測結果について~黒潮大蛇行の終息の兆しを確認~

発表日

令和7年6月2日

概要

海上保安庁は、5月31日~6月1日に測量船「平洋」「光洋」で黒潮の観測を行い、潮岬沖(北緯32度30分付近)で黒潮が東から南東方向に流れている状況を確認しました。気象庁は黒潮大蛇行が終息する兆しについて発表していますが、当庁の観測でもその状況が確認できました。

本文

  1. 調査結果概要

     海上保安庁では、測量船「平洋」「光洋」により、紀伊半島南方の黒潮の流路を捉えるための観測を実施しました。
     の結果、黒潮の流軸※1は、東経136度上では北緯33度00分に、東経137度上では北緯32度30分付近にあり、流速が東から南東方向に約2.5~3.8kt(4.6~7.0km/h)であることを確認しました。
     また、今回の観測では、北緯32度以南に、黒潮の蛇行部が切り離されたものと考えられる冷水渦※2の一部を捉えることもできました。

  2. 黒潮大蛇行について

     黒潮は、平成29年(2017年)8月より本州沿岸部から離れ大蛇行の状態となりましたが、今年4月下旬から大蛇行がみられなくなり、気象庁は、5月9日に黒潮大蛇行が終息する兆しがあることを発表しています※3。
     今回の海上保安庁の観測結果においても、黒潮が大蛇行となっている状況は確認できませんでした。
     海上保安庁では引き続き、関係省庁と連携しながら黒潮の観測を実施していく予定です。



*海洋速報
 海上保安庁では、当庁船舶及び一般船舶から寄せられた観測データや衛星画像等をもとに、日本周辺の海流や水温の現況を現した「海洋速報」を平日毎日公表しています。


※1流軸:海流の最も強いところ
※2冷水渦:周囲と比較して水温の低い海域を中心に持ち、北半球では反時計回りの渦
※3令和7年5月9日気象庁報道発表「7年9か月続いた黒潮大蛇行が終息する兆し」

5月31日~6月1日の海流を示した海洋速報(抜粋)と測量船 「平洋」、「光洋」が取得した観測データ
5月31日~6月1日の海流を示した海洋速報(抜粋)と測量船「平洋」、「光洋」が取得した観測データ(紫色矢印)
黒潮大蛇行時の海洋速報(抜粋)(2025年4月1日発行)
黒潮大蛇行時の海洋速報(抜粋)(2025年4月1日発行)